受講者及び認プロ関係者の方へ

7.認知症各論Ⅱ

各講義の紹介

本コースでは、認知機能低下を来し、かつ適切な治療によって認知機能の回復が可能な種々の重要な疾患を講義し、日常臨床上、認知症患者の鑑別診断と治療に有用となる知識を提供する。
第1回 血管性認知症
講師 高嶋修太郎
所属 JCHO 高岡ふしき病院
講義内容 認知症患者の約3割を占める血管性認知症の臨床症状や検査所見など臨床的特徴を理解し、診断基準、危険因子、および予防法を含む治療法を学ぶ。また、Strategic single-infarct dementia(特異な単一梗塞による認知症)など、血管性認知症の分類に関する知見も習得する。
第2回 正常圧水頭症,慢性硬膜下血腫,頭部外傷
講師 富岳亮
所属 金沢医科大学氷見市民病院 脳神経内科
講義内容 正常圧水頭症についてはその分類,診断,手術効果,アルツハイマー病との関係について学び。慢性硬膜下血腫については発生機序と診断ならびに治療について。外傷性脳障害についてはその病態と分類と症状について学ぶ。
第3回 代謝性疾患,炎症性疾患,その他
講師 林浩嗣
所属 学校法人新田塚学園 福井医療短期大学 リハビリテーション学科
(前:福井大学医学部附属病院第2内科)
講義内容 治療可能な認知症treatable dementiaの多くは、内分泌、代謝、栄養欠乏、中毒、感染、免疫性疾患など様々な内科疾患に起因することが知られている。認知症の10%が可逆性疾患に起因するものであったという報告があり、決して頻度は低くない。これらの治療可能な疾患は見逃すことはできず、鑑別診断は非常に重要である。本講では、治療可能な認知症をきたす代表的疾患の診断、治療法について学ぶ。
第4回 プリオン病
講師 濵口毅
所属 金沢医科大学 脳神経内科学(前:金沢大学附属病院 脳神経内科)
講義内容 プリオン病の病型に違いによる臨床症候や検査所見の違いを理解し、それぞれの病型のプリオン病の診断法を学ぶ。また、治療法の現状や介護や社会支援についても学習する。
第5回 認知症と鑑別すべき精神疾患
講師 高橋努
所属 富山大学学術研究部医学系 神経精神医学
講義内容 せん妄などの軽度の意識障害やうつ病などは、認知症と類似の症状を呈するが治療可能であることなどから鑑別が重要である。認知症との鑑別が必要な主な精神疾患について症例なども提示して概説する。
第6回 若年性認知症
講師 濱野忠則
所属 福井大学医学部 病態制御医学内科学(2)
講義内容 若年性認知症は高齢者にみられる認知症と比較して血管性認知症、前頭側頭葉型認知症の割合が高く、アルツハイマー病やレビー小体型認知症の割合が比較的低い。若年性認知症は、就労可能な年代で発症することから、職業に支障が出るため、本人の病識も十分あり、精神的ストレスは大きい。また介護者の負担も大きく、重大な問題となっている。診断、治療法に加え、就労支援、家族の支援を含めた社会的ケアについても学習する。