認プロ紹介

挨拶と認プロの概要

『認プロ』にようこそ!

認プロ・プロジェクトリーダー 小野賢二郎
[金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 脳老化・神経病態学(神経内科学)教授]

先代プロジェクトリーダーの山田正仁名誉教授から2021年10月より私が2代目プロジェクトリーダーを引継ぎかせていただきました。

『北陸認知症プロフェッショナル医養成プラン』(『認プロ』)は、平成26年度から文部科学省補助金事業『課題解決型高度医療人材養成プログラム』として始まり、補助金事業自体は平成30年度で終了したものの、令和元年より金沢大学、富山大学、福井大学、金沢医科大学の4大学間で新たに事業共同実施協定を締結の上、各大学の自己資金を投入し、事業を継続しています。

超高齢社会における認知症患者の急増、一方で認知症専門医の不足といった我が国における問題点を背景として、高度の認知症診療力を有する、真の認知症プロフェッショナル医を育成する目的で認プロは誕生しました。認知症医療において、最先端の知識・診療技能を有し、認知症の人や家族に対して幅広い支援ができる多職種連携のスキルを活かして、さらには今後の認知症医療を創造していく力を備えた医師が求められています。

この課題を解決すべく、高度な教育力・技術力を有する大学が核となって教育プログラムを展開し、実践しています。本プランは北陸の医科系4大学(金沢大学、富山大学、福井大学、金沢医科大学)が拠点ネットワークを形成し、地域医療機関と連携し、研究機関、自治体等の協力を得て実施します。

我が国の認知症医療における課題に対して、最新の科学的根拠に基づいた専門的医療が提供できる人材を育成し、将来的には健康立国・健康長寿社会を実現していくことが目的です。

認プロ概要図

認プロでは4つの教育コースを設けています。①本科コース、②インテンシブ研修コース、③スペシャル研修コース、④スーパーコースで、①の本科コースがメインプログラムで、大学院生を対象に高度の知識・技能を有する認知症チーム医療リーダー医師の養成をめざします。②のインテンシブ研修コースは、地域における認知症診療で活躍する専門医師の研修が目的です。③のスペシャル研修コースでは、認知症・神経難病の臨床病理や、地域フィールドにおける認知症早期発見・予防・ケアなど、特定領域を集中して研修します。④のスーパーコースは医学生の時から卒前・卒後一貫教育により高度な研究力を有する認知症スーパープロフェッショナル医の養成を行うものです。

本プランは、急増する認知症患者を対象とした医療人材育成プランとしては全国に先駆けて始まり、認知症医療を今後担っていく専門医育成のモデル事業となることが期待されます。また、医師以外にも看護、介護、リハビリ、保健・福祉等の多職種を対象として認知症に関わる多分野のプロフェッショナルを育成し、高度な多職種間連携による認知症医療の実現を目指しています。

実際の成果として、教育コース履修者については、令和3年10月1日現在で「本科コース」17名、「インテンシブコース」56名、「スペシャルコース」5名、「スーパーコース」2名が履修中であり、これまでに「本科コース」3名、「インテンシブコース」19名が修了しました。

「認知症メディカルスタッフ e-learning 講座」は平成28年度に開講し、認知症診療や対策に関わるすべての職種(医師以外)の方々を対象として全国から受講者を受け入れています。令和3年10月1日現在、2281名の方が受講されています。

認プロe-learning講義担当教員が主に執筆した、e-learningのテキストに該当する「認知症診療実践ハンドブック」の第1版を平成29年11月に出版しました。その後、認知症診療の進歩・新たな知見に合わせてテキスト内容の改訂を行うこととし、「認知症の嚥下障害と嚥下リハビリテーション」の記事など複数項目を追加して、第2版を令和3年4月に出版しました。

また、毎月1回4大学の持ち回りで症例検討会(デメンシアカンファレンス)を開催し、本邦を代表する認知症の専門家によるFD講演会も継続しています。当初はテレビ会議システムを使用しての開催でしたが、平成29年以降Web会議システムを用いての開催となり、参加者は全国から聴講できるようになりました。このように認プロが北陸だけにとどまらず、全国に活用していただけるように努めたいと思います。

引き続き、皆様のご指導・ご支援賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。