各講義の紹介
各種認知症の治療法について学習する。高認知症薬、周辺症状に対する治療薬、神経症状に対する治療薬、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・治療と認知症に対する関与、リハビリ、ケアの基本技術について学習する。
第1回 |
認知症の治療総論
(薬物,ケア,リハビリ,終末期医療をふくむ) |
講師 |
森本茂人 |
所属 |
金沢医科大学病院 認知症センター(前:金沢医科大学高齢医学) |
講義内容 |
認知症の予防・治療・ケアにつき概説する。認知症発症の予防については、生活習慣病が認知症発症の危険因子となることから、中年期からの生活習慣病の予防・治療の重要性、身体活動、食習慣の改善、趣味や娯楽の重要性につき学習する。認知症の治療については各種認知症および周辺症状、神経症状への高認知症薬を含む治療法につき学習する。さらに、多職種連携による本人および家族への支援、ケア、リハビリなどにつき学習する。 |
第2回 |
高齢者の薬物動態 |
講師 |
森本茂人 |
所属 |
金沢医科大学病院 認知症センター(前:金沢医科大学高齢医学) |
講義内容 |
高齢者では薬物副作用が多発する。また、高齢者では臓器予備能や恒常性維持機能の低下がみられ、複数の合併症治療を考慮した薬物投与設計が必要となる。本項では薬物動態への加齢の影響、認知症に使用される代表的薬物の副作用の発現機序、認知機能に影響する抗コリン薬、譫妄の原因となりやすい薬物の種類と作用機序などにつき学習する。さらに高齢者、特に認知症例における服薬のアドヒアランスを上げる工夫につき学習する。 |
第3回 |
抗認知症薬 |
講師 |
濱野忠則 |
所属 |
福井大学医学部 病態制御医学内科学(2) |
講義内容 |
アルツハイマー病の認知機能障害には、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)、およびNMDA受容体拮抗薬メマンチンが有効である。レビー小体型認知症の認知機能障害、BPSDの両者に対しドネペジルが有効である。血管性認知症に対してはニセルゴリンが有効である。前頭側頭葉型認知症の行動異常に対しては、SSRIの使用が推奨されている。これら薬剤を中心に作用機序も含め学習する。 |
第4回 |
BPSDの治療 |
講師 |
橋本隆紀 |
所属 |
独立行政法人国立病院機構 北陸病院(前:金沢大学大学院 精神行動科学) |
講義内容 |
認知症では、中核症状である健忘や認知機能の障害の他に、衝動制御の低下、幻覚妄想、気分の障害、意欲低下などが認められBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia (BPSD)と呼ばれる。BPSDは患者だけでなく、家族や介護者にとって大きな負担を強いるものであり、そのコントロールは認知症治療のもっとも重要な目的である。この授業では、BPSDの発症機序を踏まえたうえで、対応方法について扱う。 |
第5回 |
生活習慣と認知症予防 |
講師 |
篠原もえ子 |
所属 |
金沢大学医薬保健研究域医学系 脳神経内科学 |
講義内容 |
食事・栄養、運動などの生活習慣に関する、認知症予防研究の現状や、糖尿病、高血圧症など生活習慣病と認知症との関連について学ぶ。 |